コンセプト

自分たちが住みたい家を造る

1.家は「商品」であってはならない

例えば、ペンやスーツ、車など、世の中には「商品」が溢れかえっています。これらの「商品」は、人生の様々なステージで買い替えていくことが前提のものです。(オーダーメイドスーツやカスタムカーなど、永く使い続けるものも、もちろんありますが)しかし、家は買い替えることが極めて難しいものです。それをはき違えた時代が高度経済成長期であり、「商品」と呼ばれる家が多く「売られた」結果、現在では住み手の感性に合わなくなった空き家として持て余されています。「30年後には建て替えるつもりだから」という気持ちで家を建てる人はそう多くはいません。メンテナンスや模様替えはあったとしても、自分の世代、そしてあわよくば子どもや孫の世代まで住み続けていける家を建てたいというのが真実だと思うのです。「流行り」や「今の趣向」ももちろん大切ですが、「永遠にこの家を愛していけるか」という観点を持った「普通の家づくり」を目指したいものです。

コミュニケ―ション

おそらく、人生の買い物において販売者との付き合いが最も長くなるのが家づくりです。出会いから打ち合わせ、建築中から建築後まで、人間関係が続きます。だからこそ、お互いが「感性の合うパートナー」として相応しいかどうかをしっかり話し合いましょう。「私の家はどんな人たちが建ててくれたのか」とはっきり言えることが大切だと考えます。

普遍的デザイン

20年後、「あんな家が流行ったよねー」と指をさして言われるのは、どんな気持ちでしょう。日本には日本の、大分には大分に合った家があるのではないかと常に考えています。例えば、木楽舎の家には全て深い「軒(のき)」と「庇(ひさし)」があります。これは、日射の遮蔽・雨風による躯体の劣化予防というハード的な側面と、「軒下の空間」が創り出す深い陰影によって独特の落ち着いた佇まいが生まれるというソフト的な側面があります。古くから日本人が家づくりに生かしてきた知恵をデザインとして取り込むことで、機能性・耐久性・デザイン性に優れた、流行に流されない家になると考えています。「大分の普通の家」を新たな解釈でデザインすることに価値を見出します。

パッシブデザイン

近年、「HEMS」に代表されるように、省エネ性の高い電気設備で家の快適性を高めようという機運が高まっています。地球温暖化や環境劣化が叫ばれる昨今、各家庭のエネルギー効率を高めることは、たしかに必要なことではあります。しかし、人工的に生み出されるものの寿命は非常に短く、生涯にわたって安定した快適性を提供してくれる保証はありません。時の流れの中で、設備は必ず劣化し、交換の必要性が出てきます。その際に、必要最小限の交換で住む手法があれば、住み手と環境の双方にメリットがあるのではないでしょうか。私たちの身の周りに常にあるもの、それは「自然の力」です。それは電気供給が途絶えたときも、石油・ガスが枯渇した時も、そこにあり続けます。この「自然の力」をなんとか家の快適さに利用できないものかと生まれたのが「パッシブデザイン」です。熱い夏の日に軒が太陽を遮ってくれたり、寒い冬の日には暖かい陽の光が注ぎ込んできたり、窓を開ければ爽やかな風が通り抜けていったり。これだけ聞けば、すべては「当たり前のこと」です。蒸し暑い夏がやってくる日本においては、軒が深く風通しがいい家づくりは疑いようのない大前提でした。ただ、その効果が科学的に立証できる世の中になったというだけのことです。しかし、先に書いたように、近年の家づくりはそれを忘れてしまっているように思います。先人の知恵と現代の設計・施工技術が融合すれば、人にも環境にも優しい家はできるはずなのです。

2.自然素材と木を品よく使う

自然素材を使った家でも様々です。典型としては、「無垢の木の床+自然の塗り壁」というものがあります。(木楽舎もその典型です)自然素材を使う主な理由は以下のようなものです。

①呼吸する素材で健康な空気質を手に入れる
②自然素材の風合いで空間を柔らかくする

①については疑いの余地はありません。ただでさえ揮発性の化学物質であふれている現代の住空間において、建物自体を健康素材で作るということに異を唱える人はいないでしょう。問題は②です。人間は視覚から非常に発達した生き物です。目から飛び込んでくる情報に大きく影響されます。ですから、自然素材を使う「だけ」では感覚的な癒しを得ることはできないのです。大切なのは、自然素材と木の見え方をデザインすること。これは人それぞれに好みが分かれるので難しいところですが、木楽舎が大切にしているのは「野暮ったくならず、それでいてぬくもりを感じるような品のあるスッキリとしたデザイン」です。究極は、住まい手の暮らしぶりが映える木と自然素材の見せ方が理想です。

素材の考え方

「シックハウス症候群」という言葉を聞いたことはあるでしょう。建物内に充満した揮発性の化学物質やホコリ・ダニの死骸などによる健康被害であることは、もはや常識です。このシックハウスへの国レベルの対策も行われていることもご存知の通りで、最近ではあまり取り沙汰されない言葉になりました。しかし、現在の日本の規制基準には、まだまだ改善の余地がありそうです。今日の生活の中には、工業製品が溢れています。そこには当然、人工的な化学物質がふんだんに使われています。その中でも特に注意すべきなのが、VOCと呼ばれる「揮発性有機化合物」です。これは常に空気中に放出され、空気を通して体内へと入ってきます。ボールペンのインクや雑誌の接着剤など、VOCの発生源はいたるところにあります。逆に言えば、VOCから完全に解き放たれる生活は限りなく不可能に近いとも言えます。VOCには、トルエン、キシレン、酢酸エチルや、有名なホルムアルデヒドなど、様々な種類があります。環境省は、これらのVOCを多く排出する施設などに対する規制策などを設け、環境汚染の防止を行っています。しかし、現在の建築基準法は、「ホルムアルデヒド」と「クロルピロホス」、この2種類の使用制限にとどまっています。それ以外のVOCについては、生活道具や設備からも、家自体からも常に放出され、私たちの体内に蓄積しているというのが現状なのです。とはいえ、VOCを全く放出しない建材・素材で家を建てるとなると、莫大な費用がかかります。コストと性能のベストミックス、そして、できるだけ風通しが良くなる設計を行う必要があります。

3.広く暮らせるコンパクトな家

先の大戦以来、日本の家づくりは様々に変化してきました。その中でも特に、高度成長期には「部屋数を競う」家づくりが隆盛を極め、「家のサイズ=豊かさの象徴」という考え方が一般に広がります。
それからも時代の変化に合わせて、暮らしのあり方は変わってきました。現代は、「家のサイズをどうするか」ではなく、「どのような暮らし方をするか」という価値観に重きを置く時代です。

広がりを感じる空間づくり

いわゆる「部屋」という単位で空間を考えると、間仕切り壁が多くなります。壁が多くなるということは、単純にコストアップにつながります。そして、部屋の配置だけで間取りを考えると、家全体が大きくなる傾向があります。そうすると、冷暖房効率は下がりますし、部屋間の温度差も大きくなり、ヒートショックによる体への負担が大きくなります。
そこで、間仕切り壁をできるだけすくなくし、必要に応じて引戸で仕切るようなオープンな設計をします。そうすると、各空間につながりが生まれ、開放的な家に。その開放感のおかげで、コンパクトでも広さを感じる暮らしが可能になるため、身の丈に合った家のサイズが見えてくるのです。必要以上には大きくしないので、建物の耐久性や省エネ性が上がります。そしてなによりも、自然と家族同士のコミュニケーションが増えます。「おーい」と呼べばどこに居ても届くくらいの感覚が大切です。
そして、開放的な空間のあちらこちらに「居場所」を作ってあげます。カウンターテーブルや階段脇の読書スペース、一畳分の「潜り部屋」など、家族それぞれが「独り」を楽しむ場所をもっていることが、適度な距離感を保つことにつながります。

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