夏をエアコンなしで涼しく過ごすために

みなさんおはこんばんにちは、代表の安東です。

興奮のオリンピックがあっという間に終わり、お盆前の事務所席替えもあっという間に終わり、そして、お盆休みもあっという間に・・・。

なんだかんだと、毎日事務所に出てきては溜めてきたことの処理に明け暮れたお盆でした。

 

今日は緑ある町かどづくりのワークショップ「A2 project」の8月分課題に朝から四苦八苦。(ボコボコに指導される様子はコチラから)

今回は別荘・保養地として有名な栃木県・那須高原の森の中にある約800㎡の敷地を町かどにするという課題です。

あまりに非効率な私を見かねた保険屋さんからいただいたラムネとレッドブルのお陰で、ようやく宅地割が一段落。

毎回、課題地はホストの工務店さんが実際に活用する予定ということで、単なる宅地化に留まらず、運営などの観点も必要になります。

敷地の一角にモデルハウス兼コミュニティスペースと、近隣住民との交流も可能なイベントスペースを設けた案ですが、先生方の講評やいかに・・・(ガクブル)

 

さて、今回の課題地は上の写真のPCモニターに写っている場所。

ウォークスルー映像を見たときに真っ先に感じた事は、

①木をできるだけ残したいなぁ。

②地面にアスファルトを敷きたくないなぁ。道路でさえも。

の2つでした。

 

というのも、①と②に気を配るだけで、夏の過ごしやすさが格段に上がるからです。

 

ご存知の方も多いと思いますが、暮らしモデルハウス「青RINGO木上」は私が実際に生活を営んでいる住まいです。

上の写真の向かって右方向が南西になりますが、元々植わっていた樹木を伐採せずに残しています。

その木々が落とす影が当たる地面は砂利敷きの駐車スペース。

この組み合わせで、敷地の周辺は驚くほど涼しくなります。

 

物質は一般的に、重いものほど熱を蓄えやすくなります。

・コンクリートやアスファルトの比重:2.3~2.5t/㎥

・砂利の比重:1.5~1.7t/㎥

これに加えて、砂利と砂利の間にはたくさんの隙間ができるので、空気の流れが生まれて排熱が促進されるというわけです。

 

その他にも、敷地の周りがぐるりと緑に囲まれているので、植物の日除け効果と蒸散作用によってエリア全体が熱くなりにくい。

 

そして最も大事なのが、近隣が全体的に緑化されていることです。

↓私が暮らす町内の航空写真

 

敷地全体がコンクリートやアスファルトに覆われた地域に比べて、2℃くらいは気温が下がります。

稙田タウンの近辺を窓を開けて走ると「あっついな~・・・エアコンつけよ・・・」となりますが、自宅に近づくと「あ、涼しい・・・」となる感じです。

 

そのおかげで、青RINGO木上での暮らしはノーエアコンが実現できています。

愛猫・ハナも極めて元気。

 

こちらのお施主さん宅もノーエアコンですが、訪ねる度に驚くほど涼しさを感じます。

通り抜ける風の質が町なかとは違うと言いますか。

 

だからと言って、町なかでは涼しい暮らしが不可能かというと、そんなことはありません。

町なかの宅地であってもやはり、蓄熱量の低い自然物と木陰による地表の冷却が大きな力を発揮します↓

 

もちろん、自然なものを用いると草が生えてきたりします。

私もこの時期は3週間に一度は大汗をかきながらの草刈りに追われます(笑)

ただ、自分の体と頭を動かして整えるという行為がもたらしてくれる充足感と心地よさは、なかなか滅多に味わうことができないものだとも感じています。

そして何より、自然に逆らわないように暮らしを整えていくことが、これからの私たちには特に求められてきます。

 

去る8月9日、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」による第6次報告書が公開されました。

これは、1.4万を超える論文や研究報告を取りまとめ、気候変動の現況と今後を最も精緻に分析した報告書であり、京都議定書やパリ協定などに代表される国際規模での環境施策の策定に最も影響を与える資料です。

・IPCCによる6次報告書概要ページ

 

前回の第5次報告(2013年)の内容に加えて、↓のような衝撃的な内容が並びます。

・人間による地球温暖化への影響は疑いの余地がない。

・産業革命以降、地球の平均気温は約1.1℃上昇している。

・今後20年以内に平均気温が1.5℃まで上昇する。

・平均気温の上昇により、地球における水の循環がより強力なものとなる。(干ばつや洪水、集中豪雨が頻発する)

・平均気温が2.0℃上昇すると、農業及び健康維持のための致命的な許容範囲を超える恐れがある。

 

昨年はイギリスで道路のアスファルトが溶けたりといった、想像を超える事態も起き始めています。

 

性能やデザインももちろん大切ですが、これまで、そしてこれからの地球のことをもっと真剣に考えた住まいづくりを行い、なるべく少ないエネルギーで暮らすことに知恵と工夫を凝らすことが我々に求められていると、改めて身が引き締まります。